「よみきかせ」を楽しむために

はじめて「よみきかせ」(※1)を始めた時は、不安でいっぱいでした。
我が子には一日に何冊となく、絵本を読んでいました。演劇、詩の朗読などを大人の観客の前で演じた経験もありました。
ですが、沢山の子供たち、しかも当時1年生だった我が子より、ずっと大きな子供たちに「よみきかせ」をするのは、まったく勝手が違うこと。
1年目、2年目は年度の活動開始時に、地元で以前から活動されている「おはなしポケット」のみなさんが来て下さり、実践に役立つアドバイスをいただきました。
また、小松崎進先生、ストーリーテラーとして高い評価を得ていらっしゃる藤井いづみ先生(※2)、「魔女おばさん」の有田道子先生(※3)など、講師としてご来校いただいた先生方から、絵本の選び方やお話の読み方、そして何よりも子供と一緒に本を楽しむ気持ちを学びました。
こうして月に一回の活動も7年を過ぎた今、やっとどうにか形になってきたかな、とも思います。
このページが、「読んでみたいけれど、どうすれば良いのかわからない」とおっしゃるみなさんの参考になれば幸いなのですが。

<本を選ぶ>

  • 選書は大切です。でも、むずかしく考えると腰がひけますね。ご自分が面白いと感じた本を読んであげて下さい。読み手が好きでない本を読んでも、子供たちには伝わりません。
    何を選んで良いのかわからないときは、季節や行事に合わせた本を探してみるとか、読み聞かせ向き、と言われる本のリスト(今は絵本ブームということで、いろんな書籍や、ホームページ、雑誌などにも沢山紹介されています)から選ぶのも手かもしれません。
    みなさん手持ちの本の他に、市町村の図書館などで借りていらっしゃるようです。荒川沖小学校では、学校図書館から借りることもできます。
  • 朝からテーマが重すぎたり、悲しすぎたりする話を読むべきで無い、という意見があります。一方、ハッピーエンドの話ばかりを読むべきでは無い、という意見もあります。
    1年生と6年生では、感じ方に差がありますから、一概にどうと言えないのではないかと思います。大人である読み手が、恐がらせてやろう、泣かせてやろうといったあざとい意図を持たずに読めば、案外平静に受け止めてくれるものです。
  • 高学年でないと理解しにくい本はあります。でも、低学年にわかって、高学年に理解できない本はありません。
    「5・6年生に何を読めば良いかわからない」というのは、始めたばかりの方によく聞かれることです。私自身もそれで悩んでいました。「おはなしポケット」の方に、年齢にこだわらずに選んでも大丈夫、と言っていただいたのですが、正直なところ半信半疑でした。
    実際にやってみると、心配することはなかったのです。大きい子供も、大概は絵本が大好きです。私たちの学校では、「大きな子たちがこんなので喜んで良いの?」と不安になるほど楽しんでくれる、おっしゃる読み手さんもあります。
    もちろん、注意すべき点はあります。高学年ほど、絵本を「作品」として観ているのではないかと思えます。「いかにも子供が喜びそうな」絵やお話には、関心を持ってくれません。また、思春期にさしかかった子供たちは、一般に「お説教臭」が嫌いですね。
    以外に思われるかもしれませんが、「ぐりとぐら」「ぐるんぱのようちえん」「3びきのくま」「3びきのこぶた」「おだんごぱん」などの超定番ロングセラー絵本は学年を問わず評判が良いのです。もちろん、書き換えの少ないグリム童話などは真剣に聞いてくれます。
    加えて、高学年ならでは、の重いテーマを扱った作品もしっかり聞いてくれるので、低学年よりずっと選択肢は広いのです。
  • 「マンガは読んで良いの?」と聞かれたことがあります。たとえば海のおばけオーリーはコマ割りがあって、マンガの形式をとっていますね。私見ですが、これは読んで良いと思います。
    しかし、ほとんどのマンガ、特に日本のマンガは、あらゆる情報を視覚的に表現するテクニックが豊富なだけに、ト書き、セリフ(吹き出し)の位置、コマ割、書き文字の擬音、どれをとっても大勢の前での「よみきかせ」には物理的に適さないと思います。
  • 本屋の店頭によくある(主にラック売りの)アニメーションで放映した場面をダイジェストして作成されたような絵本は、残念ながらそのほとんどが、大勢の前で紹介したいようなものでは無いと思います。前出の藤井いづみ先生が、参加者の質問に、「作品」として成立していない、と答えていらっしゃいましたが、その通りだと思います。
  • 絵本を手に取ったら、まず口だけでもを動かして読んでみましょう。目で読むのと、音読するのでは、まったく感じが違います。そして、「読みやすい文章」には個人差があるものです。
    この後、声について、読み方について、など、続きます。少々お待ち下さい。
【註】 赤字 は関連サイトにリンクしています。
※1「よみきかせ」
荒川沖小学校で講演されたこともある小松崎進先生(著書『この本大好き!』等多数)は、「読みがたり」という呼称を提唱されています。ここでは、便宜的に、現時点でより一般的な「よみきかせ」を使用します。
※2藤井いづみ先生
小澤俊夫先生に師事、「昔ばなし大学」など全国で「語り」を教えていらっしゃいます。
※3有田道子先生
「魔女おばさん」として、30年にわたり子供たちに本を紹介していらっしゃいます。最近では、大人向けの講演も多くなさっているようです。
TOP HOME